※疾患挙動を考慮したMDDによる再評価※※BAL,TBLB,TBLC※※※診断の確信度が高くなければ考慮HRCT: 高分解能CT, UIP: usual interstitial pneumonia, Dx: diagnosis, MDD: multidisciplinary discussion, CR: 臨床医・放射線科医による集学的検討, CRP: 臨床医・放射線科医・病理医による集学的検討, BAL: bronchoalveolar lavage, TBLB: transbronchial lung biopsy, TBLC: transbronchial lung cryobiopsy文献1より引用IPF)診断のフローチャート(図1)に沿って診断(SpO2 90%以下)はIPの存在を疑う重要な所見である。FVCは早期には低下せず,肺気腫を合併すると低下しづらいこともあり,早期発見を目的として使用することは難しいが,FVCの経時的推移は予後と相関するため,予後予測の観点からFVCの経過観察は非常に重要である。 原因の特定できるIPとして,薬剤性肺炎,膠原病および関連疾患,慢性過敏性肺炎,職業・環境性疾患などが挙げられる。症状や経過に加えて,詳細な問診(発症前に新規の薬剤や漢方・サプリの内服歴がないか,膠原病の家族歴がないか,住居の築年数や材質は何か,鳥の飼育歴はあるか,職業の詳細など)を確認する必要がある。その際に重要なことは,各鑑別疾患を想定しながら見落としなく丁寧に診察・問診をすることである。特に膠原病は,症状が軽微な場合は見落とされる可能性や,疑わしい身体所見や血清学的異常所見が存在しても診断基準を満たさない症例が存在するため留意を要する。また,慢性過敏性肺炎(chronic hypersensitivity pneumonitis:CHP)は,抗原曝露が明らかで臨床像が特徴的な場合は診断が比較的容易であるが,抗原曝露が明らかでなく,慢性進行性の場合はそのほかのIIPsとの鑑東京都医学検査 Vol. 53 No. 2211図1 特発性肺線維症診断のフローチャートb)診断のためのフローチャートと各種検査 IPの鑑別には,詳細な問診,身体所見,画像検査,採血検査,組織検査などが有用であり,特発性肺線維症(idiopathic pulmonary fibrosis:を進めていく1)。IPを疑う所見として重要なのは,胸部単純X線写真で両肺野に網状間質性陰影を認め,胸部聴診所見にて捻髪音(fine crackles)を聴取することである。捻髪音の聴取には,背側肺底部の深吸気時の聴診が重要である。この捻髪音は胸部X線で間質性陰影を指摘されるよりも前から聴取可能で,医師間の聴診一致率が90%以上と報告されており,臨床医の経験に影響されない有用な所見とされている。さらには,背部肩甲骨下縁から7cmほど下を聴診して捻髪音を聴取した場合には,間質性肺疾患が存在する確率は10倍を超えると報告されており,IPを診断する上で重要な所見である。また,視診にてばち状指の確認や膠原病を疑わせる皮疹がないかの確認を忘れずに行う。また,採血検査で間質性肺炎の血清マーカーであるKL-6やSP-D高値や,呼吸機能検査による努力肺活量(FVC)や拡散能(DLco)の低下,6分間歩行試験における労作時の低酸素所見
元のページ ../index.html#87